2012年4月10日

2009年 ラジオのインタヴュー4~5 日本の神学部、スイスの教会


4.    日本には、どのような神学部がありますか。


日本には、欧米のミッションの影響でたくさんのキリスト教系の大学が立てられました。そういった大学では、当然神学部があります。改革教会の系列では、明治学院大学神学部や東京神学大学が、いずれも東京にあり、日本教会史上重要だと思います。いずれも、最近は学生の数が少なくなり、「実利的でない」と見える教育に消極的な政府との緊張もあって、教会同様経済的な問題に頭を悩ませているようです。チューリヒ大学神学部と西宮の関西学院大学神学部は、交流が深いそうです。日本人のアウグスティヌス研究者が夏の間コプト語を教えるために、客員教授としてチューリヒに来ていました。

また、大学とは別に、規模はとても小さいものの、教会立の神学校が、日本の文脈における神学教育に果たしている役割は大きいと思います。わたしの所属する日本キリスト教会は、牧師候補生に対し改革派の伝統に立って神学教育をするために、埼玉(東京の近く)に独自の神学校を持っています。そこには、カルヴァン・改革派神学研究所もおかれており、チューリヒ大学宗教改革史研究所との交流もすでに始まっています。私もそこの卒業生ですが、そこでは、講師23人に対し、全校生徒が5人という大変「恵まれた」環境で学ぶことができます。その他、日本改革派教会や、在日大韓基督教会、日本長老教会など、改革派諸派が独自の神学校を立てて、それぞれの教師養成に力を尽くしています。


5.    こちらでは、改革派の教会に行っておられますか。すでにあなたは、異なる教派の教会もお訪ねになりましたか。


はい。日曜日にはもっぱら改革教会の礼拝に通っています。もっともよく足を運んでいるのは、フラウ・ミュンスターの教会です。改革教会の伝統を踏まえた堅実な礼拝をなしながら、開かれた教会であろうとするために尽力がなされていることが大きな理由です。日本の教会には多くの場合希薄な礼拝音楽の伝統や文化に触れることもできます。また、印刷された説教を礼拝後に受け取り、読むことができることも一つの理由です。言葉が不自由な私は、礼拝後にその説教を改めて読み、食卓からこぼれたパン屑をいただくようにして、言葉を拾い集めています。それが、日曜日の午後の習慣になってきました。昨年のクリスマスには、アインジーデルンの修道院教会で、カトリック教会のミサに出席することができました。日本で他の宗派の礼拝に行った経験がありませんでしたので、大変新鮮でした。チューリヒにいる間に、正教会のミサや、ユダヤ教シナゴーグの礼拝にも出席してみたいと考えています。宗派間、宗教間の対話は、日本の教会よりも、スイスの改革教会の方が盛んだと思います。


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