2013年1月4日

ルネ・モラー/アルテュール・オネゲル 「ダビデ王」(ドイツ語からの私訳)―第三部(完) Arthur Honegger "König David (Le Roi David)" Dritter Teil

第三部


ダビデ、王にして預言者

17.讃歌(同度の合唱)

聞け、私の心は歌声に響き始める.
私の業(わざ)は主のもの!
それは私の心に溢れるばかりの豊かさのうちに歓呼する.

それは花開き、
それは明るく照る、ちょうど一つの星の如くに.
アダムの種からの最も気貴い英雄.
君よ、その口は歌に響いている.
君は聖なる炎の真の番人、
主は君を、その栄光の内に戴冠させた.

君の子らに、過ぎ去らぬ御父の王国が起こされるだろう.
君の誇り高き名が過ぎ去ることは、決してない.
そしてあらゆる民、あらゆる霊が
君を主人と呼ぶだろう.

語り部

さて、神の祝福はダビデの家の上に置かれる.
彼は御力の目的を誇らしく見つめる.
世のあらゆる王らは彼と結ばれる.
あらゆる偉大な者らのなかで、最も大いなるは、この人である!

いやしかし、ああ、罪が彼の心に忍び入る.
彼の砦の凸壁から、彼は夕刻の柘榴の庭の内に見たのだ、
その柘榴は、バトシェバの露わな美しさを優美に花開かせた.
彼女は、エリアムの娘、ウリアの妻、その庭で、
自分の女奴隷(はしため)と共に、彼女は水浴びをしていた.

Mandragora 恋なすび, 15世紀
manuscript Tacuinum Sanitatis

18.はしための歌(アルトソロ)

私にその手をお渡しください、私の友よ!
丘から私たちをくだらせてください、
(葡萄の)房が花咲く土地に下がったところへ.
葡萄は甘く、魅力的で、まだ開花していない.
いいえ、見て、マンドラゴラ(恋なすび)の黄金が、
燃えるように輝いている.

語り部

その栄華に我を忘れ、彼はバトシェバを自らの家に迎え、ウリアを死に至らしめた.

イェホヴァ(主)の怒りはしかし、
彼の愛する子の上に臨んだ.
バトシェバが彼にもうけたその子が死に、
ダビデは苦痛を主に呼ばわり、嘆いた.

19.悔改めの詩篇(混声合唱)

主よ、私の神よ、私を憐れみたまえ.
私の呼ばわる声を聞き、 我が叫びを聞きたまえ.
私を清く洗い、 君の恵みと寵愛とに与らせたまえ!
主、私の神よ、私を憐れみたまえ.

語り部

そこで神はナタンを遣わされた.ダビデとその妻のところへ、
彼らに咎を諌めるために.その罪は最高の怒りを呼びさまし
王の家を、悲しみに突き落とすものだった.

20.詩篇(混声合唱)

私は罪と困窮の内に産み出された.
私はすでに死へとむけて生れていた.
君はしかし、弱い魂を信仰の内に強く、
誤りのないものとすることを望まれた.

災いあれ、私に.
私は罪を犯した、おお、神よ!

君が私に義しい道を示されたのに、
私は君の恵みをふいにした.
私を救いたまえ、おお、神よ、私の罪から!

主、私の神よ、私を憐れみたまえ.

語り部

ここに、神の判決がくだる.
ダビデとその姦通の家についての恐ろしい判決が.
そのときアブサロム―父に大変愛された子―が、
その父に対して立ち上がった.

そしてダビデは都から亡命した.法の保護を奪われた者として
遠く、荒野の孤独へ.

21.詩篇(テノールソロ)


山べに向かって私は目を上げる.
そこから、私に助けが来たる.
常しえの御父に向かう、、
私を伴ってくださるお方のもとへ.
今日そうである如く、いつも常しえに!

おお、恐れるな、君の足が突然躓いたことに!
神は君の心を守られる.
光の内に目を覚ましておられる.
群れの牧者、主は、君より先に目覚めておられる.

語り部

だが、そのとき、アブサロムの巨大な隊列が撃退された.
そしてエフライムの森の中、ヨアブがアブサロムを殺した.
武装していなかった者を、彼は楢(オーク)の危険な
(悪意に満ちた)枝に、彼を絡ませた.

22.エフライムの歌(ソプラノソロ、女性合唱)


おお、君よ、エフライムの森よ.
烏の民に呪われた森よ.
あれは、君という実を啄ばんだ.
その枝に下がっていた(房の)実を.
その実は、血によってもはや赤く染まった.
それは私に君の手を差し出した.

この良きものはわたしに促した、
口づけの印を与えるようにと.

語り部

全ての民が戦い取った勝利に酔いしれ、
マハナイムの飾られた城門の前で歌い、
弦楽器を爪弾き祝っている間、
髪も白けた王あ、主の前で泣いた.
息子のため、彼が誰よりも愛した者のために.

23.イスラエルの人々の行進


語り部

さて、ダビデはその手の合図で、軍を立ちどまらせて言った;

「君よ、イスラエルの戦士らよ、今日から君らは私の肉、私の骨だ!
君らは平和を再びイスラエルに打ち立てるのだ.
受け取れ、父の如き王の感謝を!」

そしてイスラエル人はペリシテに対する戦いに最後まで立ち上がった.
そしてさあ、熱い争いからダビデは帰国し、
神への讃美とほめたたえのために、感謝と信頼の歌を歌った。


24.詩篇(混声合唱)


神よ、君は私のとこしえの救い、
私の主、私の英雄、
私の櫓(やぐら)、私の岩、
そして私の救助者、君よ!

君の内に私は見出す、これまで私が求めてきた何事をも.
主は私の盾、私の救い、私の避難所.

困窮の内にあって、私はこのお方を護りとして呼び求める.
私の敵どもから、神は私を救いだしてくださった.

山の小川で、神はまた、私を召そうとお求めになった.
死が、十度も矢を持って私を脅かした.
たとえ私が四方を危険にさらされようとも、
私はその御手の内にある.
神が私を墓の縁まで導かれる.

語り部

さてダビデ、巨大な権力者は、誉れを抱きつつ、
彼の黄金とヒマラヤ杉からなる宮殿の中で、老人となった.

そこへ、新たに彼を密かに襲うもの、それは自負心であった.
彼は自らの民を数えた、自分の強さを知るために.
そして神は再び怒り、預言者を通して彼に三つの厳しい罰を示す.
死の使いの剣が、黒死病(ペスト)から届けられた.

25.詩篇(同度の合唱)


君の御怒りの中で、私の神よ、私は敬います.
私を助けに来てください.
私の叫びを聞き入れてください.
ご自身が慈しみ深いことを明らかにしてください.
私の懇願を聞き入れてください!
私を憐れみなしで、過ぎ去らせないでください!

突然に、周囲の森や野が揺れ動く.
雷が轟き、山脈がはじける(割れる).
頂から轟音を響かせて、下の地まで.

それほどにひどく怒っているのだ、
巨大な御力を持つ口が.

語り部

しかし、永遠者の怒りは鎮まった.
そこでダビデは祝い讃えた.
彼の神に誉れを帰す、栄光の聖所を建てることにより.

そうしてこの偉大な王は、自らの若き日の夢が満たされるのを見る.
それは自らの生涯の充満、悲しみと喜びとの満ち溢れであった.

いや、以前より、この思慮深い放浪者は、
その人生行路を申し分のないものとしていた.
彼はソロモンを王に、イスラエルの指揮者に定めると宣言した.
あらゆる民が、ダビデの王位継承者を熱狂の歓声で迎えている間、
ダビデは、霊にあってすでに変貌し、神殿にむかい、昇っている.
そのうちに、自らの神の家を見るために.

26.ソロモンの戴冠(メロドラム)


語り部

そこでナタンは語る:
「イスラエルの前に、そして
ご自身で(王を)選ばれたイェホヴァ(主)の御前に、
私はソロモンを、王と宣言する、
この油注がれたダビデの子を!」


27.ダビデの死(ソプラノソロ、合唱、独唱声部)


語り部

そして、ダビデは語る、光の流れる神殿に直面して;

「私は仰ぐ、いと高き凸壁の上に、ケルブを.
彼はこう告げている:

『神の義人が君たちのもとに現れるだろう.
私の民を、主の恐れのうちに導くために.』

この生は、いかに豊かで、えいこうに満ちていたことだろう!
私は君に感謝します.
この生を私にお贈りくださった君よ!」

天使(ソプラノソロ)

神は約束される:

このような日がやってくる.
そこでは花々が君たちのために咲きほこり、
恵みの花萼(うてな)/杯(さかずき)が輝く.
おお、なんと愛らしく、魅力的に
それは元気づけてくれることだろう.
この世のあらゆる民を、
神の命の息を!

ハレルヤ(主をほめよ)!



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ルネ・モラー/アルテュール・オネゲル 「ダビデ王」(ドイツ語からの私訳)―第二部 Arthur Honegger "König David (Le Roi David)" Zweiter Teil

第二部

勝利の祝宴


語り部

エルサレム、エルサレム!

ダビデこそ、王.
彼がお前を選び出したのだ、幕屋を建てるために.
今日こそ、主の日である.

見よ、彼の民は歓声を上げつつ、
露(あらわ)とされた聖物を運ぶ喜びと勝利の至聖所へ!

15.祝いの歌(ソプラノソロ、女性合唱)


歌え、あなたら、姉妹らよ、歌うのです!
神はあなたたちを見捨てたまわない、決して
あなたたちとその群れは、失われない
敵によっても、決して追われることはない.

神の城門の前にある
群れは、栄光へと選び出されたのだ!

彼を讃え、彼をほめよ
主の民イスラエルよ.
主よ、私の神よ、おお、
祝したまえ、イスラエルを.

語り部

城門を開け、門扉をひろく開けよ!
そして見よ、栄光の内に戴冠した王が入場される!
イェホヴァ(主)よ、目覚めたまえ!
敵の軍勢を追い散らしたまえ!
君の選びだしたもう民は、君にむかい
感謝しつつ喜びに満ちて行進する.


16.契約の箱の前での踊り

語り部

羊飼いらはこちらに近づく、その群れを導きながら.
そこで、刈入れ人夫らは、穀物の束を伴い、
ブドウ摘みはその圧搾機からワインを伴う.
そして全ての手が、主のために働いた.

そして見よ、彼が契約の箱の聖所へと近づく.
花飾りをした、戦士たちの肩に担がれて、
まるで五日の戦乱の中にいるかのように.

民衆の合唱(混声合唱)

大いなる神、大いなる神、
イェホヴァ(主)よ、私たちと共に!
大いなる神よ、私たちと共に!
常しえなる神よ、我らと共に!
君よ、曙の光よ、
君よ、日々の星辰よ、
我らと共に、主よ、神よ!

祭司

歩み行け、永遠の者らの道を.
開け、栄光に満ちた者らの城門を.

民の合唱

義人ら導くは、ただ彼の星のみ.
入り行け、とこしえなる主の方へ!
常しえの神、我らと共に、
我らと共に!

戦士ら

私を攻め立てる全ての敵どもを
イェホヴァ(主)の御名において
わたしは屈服させた.

蜂の集団に圧迫されたが、
イェホヴァ(主)の御名において
勝利は成った.

乾いた藪(やぶ)を束ねて私は燃やした
私を遣わされたイェホヴァ(主)の御名において.

常しえの神が私を護ってくださった.
そしてその右の御手が、私を導いてくださった.
それが、主!
大いなる神、常しえの神!

祭司らと戦士ら

私たちと共に、常しえなる神よ!
大いなる神よ、目覚めて
敵の軍勢を追い散らしたまえ!

女性合唱

主を讃えよ!力を尽くして讃えよ!
歓呼し、喜びの声をあげよ!
歌え、主に、新しい歌を、
海の響きに轟く歌を!
全て水のあるところは生命(いのち)に溢れ
山々ははじけつつ身を起こす!
とこしえの光があの方の要素
あの方は風の翼で滑空する.
そしてその衣は蒼天.
あの方は雲で天幕/天蓋をつくり
またその声で、楢(オーク)は倒れる.

さあ、世々にわたるその御業をほめよ!
常しえの主をほめよ!
イスラエルの統治者を!

語り部


さてダビデは王として、契約の箱の前で
ティンパニとシンバルの鳴り響く音に合わせて踊る.
また天は、轟きつつ、神の恵みと栄光を讃える.

民衆の合唱(混声合唱)

大いなる神、私たちのところへ来たまえ!
イェホヴァ(主)よ、私たちのところへ来たまえ!
神、主は、私を護ってくださった.
またその右の御手が、私を導いてくださった.
大いなる神よ、我らと共に!
大いなる神よ、目覚めて
君の敵を追い散らしたまえ!
常しえの神、私たちと共に!
大いなる神、世の主、私たちと共に!

天使(ソプラノソロ)

我が子よ、ここでは君は王ではない.
君が神の家を建てるのではない、
そうではない、君に新芽が開くのだ.
君の統治する国は大いなるものとなり、栄えるだろう.

そして彼は私の子となり、私は彼の良い父となる.
彼の名は地から過ぎ去ることはない.
その民から一つの明るい光が成る、
主なる神から、一つの明るい星が!

合唱とソプラノソロ

ハレルヤ! ハレルヤ(主をほめよ)!

(第二部の終わり)

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ルネ・モラー/アルテュール・オネゲル 「ダビデ王」(私訳)―第一部 Arthur Honegger "König David (Le Roi David)" Erster Teil

*ルネ・モラー(没1963年1月3日)の詩に基づく、アルテュール・オネゲル(没1955年11月27日)の作品「ダビデ王」の私訳を、ここに公にしたいと思います。スイスの著作権法は死後70年の保護ですが、日本の著作権法は死後50年の保護となっています。「外国人の著作物の保護期間の特例」(a)保護期間の相互主義によれば、保護期間が短い国の保護期間だけ、保護されるということですので、この作品の翻訳権の保護は、日本の規定に基づき50年、すなわち、ルネ・モラーの死後2013年1月3日までの保護だと理解しています。わたしは、著作権法について、詳しくありません。もし、この理解に誤りがあれば、ご指摘ください。その場合は、ただちに削除いたします。

*その後、コメント欄をとおし、翻訳権の保護が、著作者の死去した翌年の1月1日から50年間であり、モラーの場合は2014年1月1日までなので、本記事の公開は1年フライングであったと、お教えくださる方がありました。ご指摘有難うございました。早すぎる公開について、ここに謹んでお詫び申し上げます。

第一部
2009年トーン・ハレ・チューリヒのポスター
左)20スイス・フランのオネゲル
右)ミケランジェロのダビデ

羊飼い・中隊長・将軍としての

ダビデ


1.導入


語り部

時至り、実に全能者は預言者の口を通じて、
ご自身の選び出された民に語られた.
この時に至り、王サウルを見限った
いと高き統治者が、先見者サムエルに語りかけられた.

「身を起こせ、我が子よ。
そして君の角(笛)を油で満たせ.
赴くのだ、エッサイのところへ。
彼こそ忠実な者、我に益するベツレヘムの仕え人!
その子らのもとに、はたして我は選ばれしイスラエル王を見出した」.

かくして預言者はベツレヘムへ旅だった.
若きダビデが羊飼いとして野にあって、群れの番をしながら歌っている かのベツレヘムへ.

2.ダビデの牧歌(アルトソロ)

主なる神は私の護り、私はその牧場の小羊.
神は私を 信実に導いてくださる、
谷をこえて 瑞々しい汀へと至る小道へ.

主なる神よ、私の避け所、私の英雄(つわもの)よ.
私の花咲く丘の広い土地、
金色の真昼どきに、その木陰が私を涼しく憩わせてくれる地よ.

私の逃れ場、この主こそ.
稲妻が怖ろしく迫りくるとき、その腕が私を父のように匿う.
私の神よ、私は君をたたえます!
君よ、私の避け所、そして救いよ!

語り部

そしてエッサイは七人の息子らを、サムエルの面前にまみえさす.

そはしかし、エッサイに言った;
「主はこれらの者の誰をも選びたまわない.男の子はこれで全てか」.
そこでエッサイは答えた;
「もう一人、ダビデがおります.一番年若く、野にて羊を牧する者です」.
そこでサムエルは命じた:
「ならば使いをやって、その者を連れて来させなさい」.
はたしてその通りになった.
そこで再び、神が言われた:
「立て!そして彼に油を注げ!実に彼こそ、私が選びだしたものだから!」

そこでサムエルは油の角をとり、兄弟たちの真ん中で、ダビデに油を注いだ.
そしてこの日より、永遠者の霊がダビデの上に臨み、その傍らに留まった。

3.詩篇(同度の合唱)


主を讃えよ、その栄光(きらめき)の中で!
とこしえなる神が私を保たれる.

主は私の嘆願を聞き入れ、
そしてその強き武器は、敵どもの軍勢を粉砕した.

たとえ強大な力が再び私を引き込もうとも、
御手は私をその隊列から引き出してくださる.

主の雷鳴は不法な行いをする敵を撃つ.
悪意に満ちて滅びにむかい一つとなっている敵を.

語り部

この時、楢(オーク)の地にて、イスラエルの男らはペリシテ人との戦いに備えていた.

3a.ファンファーレ

語り部

この時、進み出たのはゴリアテ、巨大にして大言壮語の大男である.
ペリシテ人らの隊列から進み出たのは、イスラエルの軍勢を嘲り、罵るためだった.

ゴリアテ登場


語り部

だがダビデは弩(いしゆみ)をとり、見事に的を絞った石投げで、ゴリアテの頭を撃ちすえた.
イスラエルの子らは歓び、ペリシテ人らはエクロンの門口まで追われた.

4.勝利の歌唱(混声合唱)

万歳、ダビデ、万歳 ペリシテ人を打った者!
輝きに満ちた主の英雄(つわもの)!光に満ちた明るい星よ!
サウルは千を討った.だがダビデは万を討った!

5.出征


勝利の歌唱の繰り返し(合唱4)

語り部

はたしてダビデはミカルを抱きしめる.
約束された花嫁、サウルの娘を、王の宮殿で.

サウルはしかし、愛し合う者らを見、そして彼の陰鬱な心持ちは、妬みと猜疑で憔悴する.
そのころ彼は年をとり、対してダビデは若く美しかった.

そこへ、悪しき霊が王を襲う.
そしてある日、ダビデが玉座の前で竪琴をつまびき歌っていたとき、
サウルは歌い手に向けて槍を放った、彼を殺そうとしたのである.

6.詩篇(テノールソロ)


君よ、恐れるな、
そしてあの方を、とこしえの主を望め!

君の嘆きは一体どうしたことか.
「ああ、逃れよう、鳥が山の陰へ飛び去るように!」

そこには敵が構えている、
その銃を.           
彼は研ぎ澄ました矢と投じる.
夜を通して、悩ませる
その弾丸が.
罪なき心を撃つことなかれ.

君よ、恐れるな、
そしてあの方を、とこしえの主を望め!

語り部

ダビデは預言者らのもとへ身を避けた.そして、彼の心は荒野の熱い風に渇いた.
それから、ああ、彼は今や、永久(とわ)の別れをするのだ、かのヨナタン
-信実の友にして、愛を多くささげ合った兄弟-と.

7.詩篇(ソプラノソロ)

ああ!私に鳩の翼があれば、
森をぬけ、荒野をとおり、遠くへ飛んでゆくのに.
どこへ消え去ったのか、私の希望は、
私の全(まった)き信仰は?
誰が解き放ってくれるのか、死の縄目から
自由へと、この私を?
誰がこの悩み苦しむ頭に憩いを示してくれるのか?
夕に朝に、ああ、涙の中に立つ.

嵐が私の幸いを あまりにも突然奪い去った.
嵐は運ぶ、神に、私の願いを
私の嘆願を.

語り手

だがサウルは使いを送る、ダビデを捕え、連れ戻そうと.
そしてすぐに、使者らはナヨトへやって来て、ダビデを見出した
次のように預言する、預言者らの只中に.

8.預言者らの歌唱(男性合唱)

ああ、女から生まれた男が、長く生きることはない!
その者の行く路(みち)、それはなんと骨の折れ、
なんと悲しみに満ちた路か!

彼は草のように育ち、刈り取られ、萎む.
影のように消えゆき、そして彼の生きた地は
彼をもはや記憶しない.

語り部

荒野を一人彷徨う者
ダビデの心は孤独に
-移りゆく-そして清さに.
今や成熟してゆく
夢見がちな若ものから
男/人へと.

そして再びら沿いは燃え上がる.サウルの軍勢によって、
自らの群れと共に山岳へ追いやられたダビデは、
続いて宿り場と示された洞穴の入り口で、主に護りと助けを求め呼ばわった.

9.詩篇(テノールソロ)

恵みの神よ、私を憐れみたまえ!
おお、ゆるしてください、君の御もとに宿をとることを.
わたしは君の御手の陰に眠ります.

いつですか、おお、主よ、夜が終わりを告げるのは.
恵みの神よ、私を憐れみたまえ!
私の心よ、強くあれ!

私はほめ歌を歌おう、神に、主に!
おお、日よ、私を勝利へと明るく照らしておくれ!
私の魂よ、上がれ、神に向かって
そしてその御力を讃えよ

そして新しい歌を歌え!

語り部

すると神はダビデの手の内に、彼の敵、サウルを渡された.
闘いに疲れた戦士たちの中に、彼は自分の敵対者を、
(しかも)眠りにつこうとしているところに、見出した.
だがダビデは躊躇した、高貴な者を密かに討ち殺してしまうことを.
彼は杯と槍をとった―サウルの頭のかわりに―.
そして去った.それに気づく者は誰もなかった.
彼らは皆眠っていたからである.彼らに落ちてきたものは主からの深い眠りであった.

10.サウルの寝床


語り部

さて、ペリシテ人が新しい軍勢を徴集したのと同じころ、
イスラエルも再び争いに引き入れられることとなった.
王の軍勢は大変な苦境に置かれた.敵は山に向かい、騎馬、馬車と共に移動する.
そしてダビデは今、ペリシテ人の護りと助けを受け、ペリシテと共にいる.
イスラエルはしかし、信頼を置いていた、その神、主に.

11.詩篇(混声合唱)


主よ、我が神よ、君は私の暗闇の中の光です.
何を恐れるのか、君よ、私の心よ?
神よ、君よ、永遠者よ、
辛苦にあっての私の慰めよ.
私は何を恐るものとすべきだろう?

たとえ敵が防塁から、嘲りと滅びとともに脅そうとも、
森が槍と長槍で全く満ちようとも、
それでも私の神は私を覆ってくださる.
敵どもの軍が私を取り巻こうとも、
おお、永遠の光の主よ、
私の懇願は、地にまみれた野から上へと達するけれども、
それでも私の心は恐れない.

語り部

だがしかし、サウルはペリシテの軍勢を見た、スネムの方に.
彼は恐れ、その気持ちは怖気づいてしまった.
そこで彼は主に助言を求めた.だが、主は彼に答えたまわない.
夢を通しても、預言者を通しても、
光(まぼろし)を通しても、預言者を通しても.
そこへ、王のところへ来た僕らは言う;

「ご覧ください、エンドルに一人の女がおります、使者を呼びさます者です」.

そこでサウルは衣を取りかえ向かう、二人の男らの手引きで、夜に
魔女のところに.そして行った;

「予言してくれ、私に.お前の先見の霊を通して.
そして連れ上ってきてくれ、私に、私がお前に告げる者を」.

そこで女は言った;「私は誰を、深みの眠りの内より呼びいだせばよろしいか?」
対してサウルが言うには;「サムエルを、私のところに連れ上ってくれ!」

12.エンドルの魔女のまじない(メロドラム)


魔女

ウォーム!ウォーム!

炎によりて 水によりて
言葉によりて 風によりて
幻によりて 傾聴によりて

境を破れ!
鍵を破れ、骨壺を閉じた鍵を!

出でよ!出でよ!時はここだ!
ウォーム!ウォーム!

陰府(シェオール)の深遠より、我は君を呼び起こさん!
再び戻れ、新しき門戸の神殿へ!
出でよ!出でよ!

君の血を抱(いだ)け!その内に生命(いのち)を嗅ぎつけよ
我は今や、地(世)へ引き戻さん!
出でよ!出でよ!

おぞましい灼熱よ!おお、深みの火よ!
そは我が内に迫り、骨の髄まで我を焦がす!

おお、陰鬱な炎よ、刀の如き!
上がってこい!上がってこい!出でよ!

はァ!お前か、私を裏切った!お前か、サウルだな!

語り部

そこでサムエルがサウルに語りかけた;

「何を問おうと私のところへ来たのか?永遠者が今や君に背を向け、
君の敵となられたというのに?主はなされるだろう、私に通じて語られたとおりに.
そして君の手からイスラエルの民は引き離され、君に続く者、ダビデに引き渡される.
明日、主が民を引き渡されるだろう、ペリシテ人の非道な手に.
明日、君は、君の子らともども私と共に、影の王国にいるだろう」.

かくしてサウル、かの王は、その子らと共にギルボア山上の激しい戦いに倒れる.
勝利するのはペリシテの軍民である.イスラエルの光は塵と消えるゆく.

13.ペリシテの行軍


語り部

一人の死者がダビデに届け出た、油注がれた者、サウルの腕輪と王冠を.
ダビデは自らの衣を裂き、それを寸断し、地面に身を投げ出すと、泣いた
大声で、全ての民の前で、イスラエルのために、サウルとヨナタンのために.
彼らが剣に倒れたからである.

14.ギルボアの哀歌(ソプラノとアルトのソロを伴う女性合唱)


ああ!

語り部 (ダビデ、歌の間に)

「ギルボアよ!ギルボアよ!

君の誉れは、おおイスラエルよ、高みに横たわる.
それは打倒されたのだ.
いかにして、かの英雄(つわもの)が闘いに倒れたのか!

ガトには言うな、アシュケロンの通りで告知するな!
敵どもの娘が、それを喜ばないように、異邦の女らが!

君よ、ギルボアの山々よ、君らの上に露も雨も降らせず
ただ、涙と悲しみだけにせよ!

実に、その山上で英雄らの盾はたたき落とされたのだから.
王位にある者の盾が.
サウルとヨナタン、その生は優雅で魅力的だったが、
死にあっても彼らは、決して分かたれることはない.
彼らは鷲よりも素早く、獅子よりも雄々しかった!」

合唱:

泣け、サウルのために!

語り部

「君よ、イスラエルの娘らよ、泣け、サウルのために!
君らに、見事な紫の衣を着せられたお方、
君らを黄金の飾りで飾られたお方のために!

ああ、君のために私は残念でならない、我が兄弟ヨナタンよ.
君の愛は女性の愛よりも私には価高かった.
ヨナタン、高みにあって彼は打ち倒されてしまった!」

合唱といくつかのソロ

ああ!


―休憩―

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2013年1月1日

Ein in den Augen Gottes gutes neues Jahr! 神の目によき新年を!





Genau wie dieser Film (ab 1:11) in Youtube: 


Das Jahr 2012 unsrer Familie endete mit Trompetengeschmetter, aus dem Turm des Baslermünsters, -und mit den Lobgesängen aus dem 16./17. Jahrhundert, die wir kurz vor dem Gottesdienst draussen mitgesungen haben. Danach begrüßten wir im Münster das Jahr 2013 mit Freude, schönem Orgelspiel und wieder mit unseren Gesängen. Nun wünsche ich Euch/ Ihnen ein gutes, gesegnetes neues Jahr! Und wünschen wir uns vor allem, dass das es in den Augen Gottes ein gutes frohes Jahr wird.

わたしたち家族の2012年は(以下の動画と変わらない状況で)、バーゼル大聖堂の塔の上から響くトランペットと、それに合わせて礼拝前に星空の下で歌う16-17世紀の讃美歌と共に終わりました。その後、私たちは歓喜と、オルガンの美しい音と、再びの歌声の響く大聖堂内で、新しい2013年を迎えました。今、わたしたちは、新しい一年がみなさんにとって、喜びと祝福に満ちたものとなるように、お祈りしています。そして何より、神さまの目に、良い、喜ばしいと映る年になるように願っています。

Lobe den Herren den mächtigen König der Ehren
lob ihn, o Seele,
vereint mit den himmlischen Chören.
Kommet zu Hauf,
Psalter und Harfe, wacht auf.
Lasset den Lobgesang hören.

力の主を ほめたたえまつれ
我が心よ、今しも目覚めて
竪琴(たてごと) かき鳴らしつつ
御名(みな)をほめまつれ
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