2013年12月19日

旧約聖書 創世記22章 私訳 (シャガールとペルシャ美術のおまけ付き)


ヘブライ聖書の創世記22章の私訳です。

一. これらの事どもの後のこと。   ダーバール 前章との関わりcf. Gn15,1
   だが 神(エロヒーム)は試された アブラーハームを。
 
   そして、言われた 彼に
   「アブラーハームよ」

 すると、彼は言った。
   「見よ私はここに」

二. そこで、言われた。
   「取れ、さあ、あなたの息子
             あなたの独り子―愛する者―を
              イツハークを!    cf. Gn12,1「地、故郷、家」
   そして行き往け、あのモリヤー(?)の地へ       cf. Gn12,1 
     そして立ち昇らせよ 彼を そこで 「(燔祭の煙を)捧げよ」の意    
            *燔祭として  原意「立ち昇るもの」=全焼の献げ物 Gn8,20, Lv1-7
          あの山々の一つ―あなたに言うところ―に。」

三. そこで早く起きた、アブラーハームは その(翌)朝に神の時
    そして鞍置きした 彼の荷ロバに としての早朝Gn19,27; 20,8; 21,14   
     そして取った 彼の二人の若者(男子)らを 彼と共に
               またイツハーク―彼の息子―を。 
      そして行った あの場所
      ―神(エロヒーム)が彼におっしゃったところに―。 

四. *三日目    cf Gn31,22; 42,18; Ex3,18; 15,22; 19,11; 15,16;Nu10,33; 19,12,19;...
    そして上げた アブラーハームは 彼の目を
    そして*見た あの場所を 遠くに。  モリヤーの語源の一説
                                           「YHは見る」を思わせる? 
五.  そしてアブラーハームは言った 彼の若者らに。
    「座れ お前たちは こちらに その荷ロバと共に「残れ」の意 
     だが私と この若者は 行こう あちらまでイツハークの若さ  
     そして伏し拝み   「礼拝する」の意。cf Gn24,26; Ex20,5; Ps5,8;
     それから 私たちは戻る お前たちのところへ。

六. そして取った アブラーハームは 燔祭木々
    そして置いた イツハーク―彼の息子―の上に。   
    そして取った 彼〔自身〕の手に を      「火打石」の意か
                    そして小刀を。   原意「食器具」
    そして行った 彼ら二人は 一緒に。   

七. するとイツハークは言った アブラーハーム―彼の父―に。
    すなわち曰く
    「我が父よ」
    
    そこで言った
    「見よ私はここに我が息子よ。」

    すると言った
    「ここに 木々が。
     けれどもどこに 燔祭動物が。」 「羊」か「山羊」等の可能性 
   
八. そこで言った アブラーハームは。
    「神(エロヒーム)が 御覧になろう そのために
                動物を、燔祭のために、我が息子よ。」
    
    そして行った 彼ら二人は 一緒に
    
九. そうしてやって来た あの場所
     ―神(エロヒーム)が彼におっしゃったところに―。 

    そこで築いた そこに アブラーハームは 祭壇を。
    そして並べ据えた 木々を 
    そして縛った イツハーク―彼の息子―を聖書中ここだけの動詞 
    そして置いた 彼を その祭壇の上に
                  その木々の頂に。

一〇.そして アブラーハームは伸ばした 彼の手を  
    そして取った あの小刀を 殺すために  彼の息子

 一一.すると呼んだ 彼を 主(YHWH)の御使いが 天から

     そして言った。
     「アブラーハーム、アブラーハーム。」 

     そこで言った。
     「見よ私はここに。」

 一二.すると言った。
     「いけない 伸ばしては あなたの手を その若者に。
      いけない しては 彼に対して 何事も。
       実に 今こそ 私は知ったからだ          ´attah
        実に、あなたこそ                  'attah
          神(エロヒーム)を恐れていると。
      そして あなたは 引き抑えかった  
        あなたの息子
         あなたの独り子を 私から。」
      
 一三. そして上げた アブラーハームは 彼の目を
      そして見た 
      否、見よここに、 一頭の子羊!
       これがとられていた 藪の中に その角を。
      そこで取った その子羊を。
      そしてそれを立ち昇らせた  燔祭として
        彼の息子 の代わりに。
      
 一四.そして呼んだ アブラーハームは 
      この場所の名を 
       アドナイ(YHWH)・イルエーと 「YHWHは御覧になる」の意
     ―今日 言われているとおりである
      「主(YHWH)の山に 幻あり」と―。

 一五.すると 呼んだ 主(YHWH)の御使い
      アブラーハームを 二度目に 天から   cf. Gn22, 11 
 一六.そして言った。
     「実に、私は私自身にかけて誓ったのだ。  Jer22,5 Heb6,13-14
       ―主(YHWH)の託宣―
      実に、この事を あなたが果たしたために   ダーバール
       そして あなたは 引き抑えなかった  
        あなたの息子
         あなたの独り子を。
      
 一七. 実に、祝福もて祝福しよう
      そして、増やしに増やそう
       あなたのを 天の星々のように「子孫」:の意
                   cf. Gn 15,5, 26,4, Ex32, 13, Deu1,10, 10, 22, Jer33, 22, Heb 11, 12
       また 海の唇の砂のように。 「海辺」の意 
df. Gn13,16, 28, 14, Num23,10, Jes48,19, Jer33,22, Rom4,18, Heb11,12
テル・アラド(イスラエル)のYHWH神殿。犠牲の祭壇と奥には至聖所(前十~八世紀)
     そして 跡継ぐだろう あなたのが 彼の敵の門を。
                               新共同訳「勝ち取る」
 一八.そして 祝福されるだろう あなたの種によって
      全ての地の国民が
     実に あなたが聞いたからである 私の声に」。
 
 一九.そこで 戻った アブラーハームは
 彼の若者のところへ cf Gn22, 5                
       そして 彼らは立ち上がり
       そして 行った 一緒に ベエル・シェバへ。  *↓「住む」の意
        そして 座った アブラーハームは ベエル・シェバに。


 二〇. これらの事どもの後のこと。
      アブラーハームに 曰く
     「見よここに、産みました ミルカーもまた 息子らを
        ナーホール―あなたの兄弟の―ために、

 二一.    ウーツ―彼の長男―を
         そして ブーツ―彼の兄弟―を
         そして ケムーエール―アラームの父―を
 二二.    そして ケセドを  
         そして ハゾーを
         そして ピルダシュを 
         そして イドラーフを 
         そして ベトーエールを」。
                                       *↓「(父として)もうけた」の意
 二三. さて、ベトーエールは産んだ リブカーを。
      これら八人を 産んだのである ミルカーは
       アブラハームの兄弟のために。
  
 二四. 一方、彼の側女で、
        すなわちその名はレウーマー(という者がいた)。
       そして産んだ 彼女もまた 
        
        テバーを
        そして ガハムを
        そして タハシュを
        そして マアカーを。  
        
            
----------------おまけ-------------

くらべてみてください・・。


ユダヤ的イサク奉献(左、シャガール)と
ムスリム的イスマイール奉献(右、15世紀ペルシャ)

うーん、やっぱり兄弟はよく似るものだなぁ?

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私訳 二〇一三年九月六日
改訳 一一月
©schu-hey2013